珈琲とチョコレート

本屋さんか図書館まわりで生きています。ブックカバーとしおりを集めるのが好きです。

  韓国小説『七年の夜』 大人の闇に呑み込まれた子どもの話

『七年の夜』 韓国小説

七年の夜 (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ3)

七年の夜 (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ3)

  • 作者:チョン・ユジョン
  • 出版社:書肆侃侃房
  • 発売日: 2017-11-10
 主な登場人物

チェ・ヒョンス 元プロ野球選手・セリョンダムの新保安部長・ソウォンの父

チェ・ソウォン ヒョンスの息子

カン・ウンジュ ヒョンスの妻

オ・ヨンジェ  セリョン村の地主・歯科医師

オ・セリョン  ヨンジェの娘

ムン・ハヨン  ヨンジェの妻

アン・スンファン ヒョンスの部下

 あらすじ(ネタばれあり)

  死刑囚の息子として誹謗中傷され、親戚の間を転々として育ったソウォン。父親の処刑がせまるなか、ソウォンの周りには不思議なことが起こり始める。
時は変わって、事件の前・・・

 二人の父親が事件の中心人物である。一人は地主で歯科医のヨンジェ。裕福で権力もあり、妻と娘のことを愛しているように見えるが、彼は家族を自分の所有物とみなしている。「自分のもの」に対する病的な執着から家族を束縛し、暴力を振るうのが日常。もう一人は保安員のヒョンス。大柄で元プロ野球選手。息子のソウォンを溺愛している。

 

 ある晩、日々のイライラから飲酒運転をしていたヒョンスがヨンジェの娘を車ではね、さらに扼殺してしまう。その時ヨンジェの娘セリョンは、父親からのドメスティックバイオレンスから逃れるため、道路に飛び出したのだった。母親は自分の身を守るためにフランスに逃げており、セリョンは死んでしまう。セリョンの遺体を湖に捨てるヒョンス。この一瞬の誤った選択が破滅への始まりとなった。

 

  一方、セリョンを殺した犯人を捜す父親ヨンジェ。手段を選ばず犯人のヒョンスを追い込む。最後には息子ソウォンをさらって殺そうとする。ヒョンスがとった防衛策が、ダムをからめた未曽有の災害となって付近の住民まで巻き込み、多数の死者を出してしまう。それが事件のあらましだった。ヨンジェは生死不明となる。

 

 ヒョンスの処刑直前、ソウォンはヨンジェが自分の周りにわなを張っていたことを知る。ソウォンはヒョンスからの攻撃を警察と連携して防ぎ切る。そしてヒョンスの処刑は行われた。

 

 

 


『七年の夜』予告編 ★のむコレ2018上映作品★

 

 

 テーマは「悪」。家族をモノのように扱い暴力をふるうヨンジェの悪。酒におぼれ、誤った選択の結果として子どもを殺したヒョンスの悪。

 

 ヒョンスの悪癖の元である暴力的な父、ヨンジェに見られる妻や子への支配的な父性。作中にはさまざまな悪が描かれている。悪による行為の結果が積み重なって、より悪い方向へと向かっていくのが読んでいてつらかった。

 

 そして子供たち。

 ヒョンスの息子ヒョンスの息子ソウォンは、死刑囚の息子という中傷に耐えて生きるしかなかった。そしてヨンジェの娘セリョンは、暴力に虐げられ、逃げることもできず死んでしまった。セリョンはは自らを置いて行った母を思い、それを見とがめた父に殴られ、逃げた先で見知らぬ男にはねられ、殺された。

 殺される前に「パパ」と呼んだ声は、どんな思いから出たのだろうか。 セリョンははたして、大人であるヒョンスが最期に感じたように、それでも人生に「イエス」といえただろうか。

 

 作中で紹介されているV・Eフランクルの『それでも人生にイエスと言う』とセットで読むと、セリョンが少し救われたように思えた。

 

 

 

 

2018年11月の読み聞かせ勉強会

2018年11月の読み聞かせ勉強会

 

1 おはなしの小道具を使ってみましょう!

 藤田浩子先生のパタパタ変わり絵。いないいないばあ!のセットにはわんちゃんやおさるさんが。一番面白いのは幽霊!いないいないばあでいなくなったあと、幽霊を探すともりあがります(^^)実演動画を見るとわかりやすいです。


いない・いないばあ(『おはなしの小道具セット②』藤田浩子)

 

 

藤田浩子のおはなしの小道具セット 2―すぐに使える

藤田浩子のおはなしの小道具セット 2―すぐに使える

 

 

 

 


乳児も喜ぶ!牛乳パックで作る パタパタ変わり絵

 

パタパタ変わり絵は買わなくても作れます!実際に牛乳パックで作るとはじの厚くなっている部分がひっかかりやすいです。お金はかかるけど画用紙のほうが使いやすくはあるかなぁ。


kimie gangiの工作教室 絵が変わり続ける4面カードの作り方Ver.2

 

4面のパタパタ変わり絵もあります。わたしは虫のたまご→幼虫→さなぎ→蝶のライフサイクルで作成してみました。

 

2 わらべうたであそんでみましょう

 

『おせんべやけたかな』

巻末にあかちゃんとの楽しみ方が載っています。 


31.手遊び歌(おせんべやけたかな)/Japanese Nursery Rhyme with Hand Action (Osenbe-Yaketakana)

 

 3 『トムテ』

 しんしんと冷える冬の夜、ひとり寝ずの番をするトムテ。数えきれないほどの長い年月、こうして農場を見守っていて…。スウェーデンの人々に長く親しまれてきた詩とおだやかな絵が、見る人の心をなごませる絵本。

 

トムテ

トムテ

  • 作者:ヴィクトール・リードベリ
  • 出版社:偕成社
  • 発売日: 1979-11-01
 
4 『かあちゃんのジャガイモばたけ』

 

ジャガイモをつくりながら、ふたりのむすこをそだてていたかあちゃん。でも、ある日、にいちゃんは、東の国の兵士になり、おとうとは西の国の兵士になってしまいます。ふたりともが去ったとき、かあちゃんはちょっと泣いてから畑に戻るのだけれども、その時の気持ちを考えると胸が苦しいです。ふたりの息子がどうなるか、かあちゃんはどうなるのかは読んでみてのお楽しみ。

 

5 『ポレポレやまのぼり』

 慌てんぼうのやぎくん、お調子者のはりねずみくん、しっかり者のぞうくんが、山登りに出かけました。今日は山頂に泊まる予定。やぎくんの妙なこだわりが笑える絵本です。

ポレポレやまのぼり

ポレポレやまのぼり

  • 作者:たしろ ちさと
  • 出版社:大日本図書
  • 発売日: 2011-12-01
 
 6 『ねこのき』

オレンジ色の長いしっぽのねこは交通事故で死んでしまいました。飼い主の花好きなおばあさんはねこを庭にうめました。やがて、春がきて、そこから小さな芽がでてきて・・・

 

ねこのき (おはなし広場)

ねこのき (おはなし広場)

  • 作者:長田 弘
  • 出版社:クレヨンハウス
  • 発売日: 1996-06-01

 

 

 

2018年9月読み聞かせ勉強会 

 2018年9月の読み聞かせ勉強会

1 くいしんぼうのゴリラ


くいしんぼうゴリラのうた|手遊び動画

レモンはすっぱくて、さいごはたまねぎ食べられないんだよね(´;ω;`)

 

2:どんぐりないよ

どんぐりないよ (たんぽぽえほんシリーズ)

どんぐりないよ (たんぽぽえほんシリーズ)

  • 作者:間部 香代
  • 出版社:鈴木出版
  • 発売日: 2017-09-07

 どんぐりを探しに出かけた、りすくん。でも、ほんの少ししか見つからず、家でしょんぼりしていると、こぶたくんたちがやってきて…

 おともだちのみんなのきもちがうれしい本。どんぐりいっぱい。

 保育園や幼稚園くらいのおともだちに。

 

3:ぼくのおじいちゃん

 ぼくのおじいちゃん

  ピラティスとドイツ語を習い、毎日ランチに出かけていくおじいちゃん。ぼくのおじいちゃんの1日は、とても楽しそう! ポルトガルで生まれた、豊かな時間を過ごすおじいちゃんの日常を描く絵本。

 おじいちゃん、なんだかお洒落だな~

 

4:くったのんだわらった

 ヒバリの夫婦は、モグラが巣のそばを掘りかえすので、オオカミに追い払ってくれるように頼みました。オオカミが「たらふく食わせてくれたら」というので、ヒバリは村で結婚のお祝いに集まっていた人々をおびきだして、オオカミにごちそうをはらいっぱい食べさせました。ところがオオカミはこんどは「ビールを思いっきり飲ませてくれたら」というのです……。ポーランドの愉快な昔話です。

 

おおかみが最終的にどうするのか?気になって仕方がないお話。読んでて面白いです!おおかみのずる賢さがうまく出るように読むのが大事。

 

5:おひさまをほしがったハヌマン

おひさまをほしがったハヌマン―インドの大昔の物語「ラーマーヤナ」より (こどものとも世界昔ばなしの旅)

おひさまをほしがったハヌマン―インドの大昔の物語「ラーマーヤナ」より (こどものとも世界昔ばなしの旅)

 

 インドのお話。インドラのバジュラの威力半端ない。

 

6:たんぽぽたんぽぽ

たんぽぽはたんぽぽ

たんぽぽはたんぽぽ

  • 作者:おくはら ゆめ
  • 出版社:大日本図書
  • 発売日: 2015-04-23

すずめが「たんぽぽはたんぽぽ」と言うと、たんぽぽが、花びらをぴんと伸ばしました。たんぽぽが「ありんこはありんこ」と言うと、ありんこが小石をど〜んと運びました。たろうくんも、ねこに「たろうはたろう」と言われ…。

 

独特のゆったりした世界が良い。ゆっくりふわふわ話すのが得意な人がこの絵本を読んだ。とっても気持ち良い空間が広がった。

 

 7:つきよのおんがくかい

つきよのおんがくかい (日本傑作絵本シリーズ)

 

満月の晩、山の上でジャムセッションを楽しむクマ、ウマ、ネコ、イヌに出会うこうちゃん。鮮やかな色の対比と、「ばびぼべばび(ベース)」「キャンキョンカリコレカリコレ(ピアノ)」などの擬音がユニークな絵本。

 

ピアノが「カリコレ」ってどんな鳴り方なんだろう。読むときに工夫が必要。

 

 

紙 芝 居

 

 

 おいもさんの大きさや長さや、いろいろなものを比べる紙芝居。

おいもさんに番号とかがなくて、どのおいもさんなのかちょっと答えにくいかな。

 

2018年5月読み聞かせ勉強会の絵本(2) かこさとしさんなど

4 『マトリョーシカちゃん』 作者:ヴェ ヴィクトロフ,イ ベロポーリスカヤ,加古 里子

 

マトリョーシカちゃん

マトリョーシカちゃん

  • 作者:ヴェ ヴィクトロフ,イ ベロポーリスカヤ,加古 里子
  • 出版社:福音館書店
  • 発売日: 1992-10-15

 

  5月に『マトリョーシカちゃん』は時期があわないと思う向きもあるかもしれませんが、かこさん追悼&読み手の思いということでチョイスされていました。

 

 かこさんといえば「からすの〇〇やさん」「だるまちゃん」が有名。だるまちゃん、最初は手足が短くて可愛い感じだったのが、最近の作品をだんだんムキっと手足が長くなっていて、成長を感じました(^^)/

 東日本大震災後、かこさんの作品が多く発表されたように感じます。

 かこさんの作品はこれからもずっと愛されると思います。

 

5 詩の朗読 『夕焼け』吉野弘

 

いつものことだが
電車は満員だった
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
例もいわずにとしよりは次の液で降りた。
娘は坐った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で例を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀相に
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッと噛んで
身体をこわばらせて--。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。

 

 


夕焼け 詩 吉野弘

 

高田渡さんの歌もあります。


高田渡「夕焼け」原詩 吉野弘

 

www.nhk.or.jp

 

 

2018年5月読み聞かせ勉強会の絵本(1)

1 『つかまえた!』 鈴木まもる作

  

 「たんぽぽのわたげ」を「てんとうむし」がつかまえて、その「てんとうむし」を「とかげ」がつかまえて。さらにその「とかげ」を「ねこ」が、「ねこ」を「男の子」がつかまえて…。最後にみんなをつかまえるのは、あらびっくり( ゚Д゚)。子どもたちの反応が良くて読んで楽しい絵本です。

つかまえた! (講談社の創作絵本)

つかまえた! (講談社の創作絵本)

  • 作者:鈴木 まもる
  • 出版社:講談社
  • 発売日: 2014-03-12

 

  ページの左側にうっすら次にやってくるものの影があるのですが、色の加減ですぐにはわかりません。せっかくだからどこかで説明をいれたいな~と思うときは、最後にちょっと申し添えても良いかもしれません。

 

講談社の読み聞かせ方のコツのページが参考になりました。

ehon.kodansha.co.jp

 

2 手ぶくろシアター 「キャベツの中から」

 

薬指を立てるのが難しいのです・・・(ノД`)・゜・。

 


キャベツの中からの手袋シアター☆【あそびかた♪】

 

 手あそびもあります。歌も手あそびもいくつかバージョンがあります。

 


【手遊び歌】 キャベツのなかから 【子ある日和】

 

3 エプロンシアター 「三匹のこぶた」

 

三匹のこぶたは有名なおはなしなので絵本も、手あそびも、手袋シアターもあります。

子どもたちもよく知っています(^^♪

 


笠間 友部 ともべ幼稚園 子育て情報「エプロンシアター さんびきのこぶた」

 

 

 

科学絵本 新しい本 2017年10月

 

 科学絵本と題してみたものの、科学、科学といいつづけると堅苦しくなるので、よみきかせ向きの楽しい本から。

 

 

1 『いぶくろちゃん』

いぶくろちゃん (ライブえほん)

いぶくろちゃん (ライブえほん)

  • 作者:平田 昌広
  • 出版社:学研プラス
  • 発売日: 2017-10-03

消化について教えたいけれど、やさしく読める本はないですか?とお探しの方!

そんな人におすすめ。いぶくろちゃんがバナナを皮ごと食べちゃって・・というお話。

作者のかたが読み聞かせを動画であげているので、読み聞かせの練習にも。

 


いぶくろちゃん 読み聞かせ実演動画(Gakken)

 

 

 2 『すっぱりめがね』

 

 すっぱりめがね

すっぱりめがね

  • 作者:藤村 賢志 出版社:教育画劇 発売日: 2017-09-14

 

 モノの断面についておはなしするときにおすすめの絵本。学校司書さんに人気があった一冊。僕の持ってるふしぎな「すっぱりめがね」で何かをのぞくと、なんでもすっぱり!身の回りの物の断面を緻密な絵でのぞける、好奇心をはぐくむ絵本。

 

3 『いきものかくれんぼ』

 

  ほかのいきものにたべられないために、かくれんぼのてんさいになったいきものたちを紹介する本。ぜひクイズ形式で。

 

これはすごい!と私が思ったのはハイイロセダカモクメというガの幼虫。

虫がお嫌いでなければ、著者の一人である海野さんのブログをご覧あれ。

www.goo.ne.jp

 

 

 4  『わたしがノーベルしょうをとったわけ』

 

   主人公の女の子が不思議な卵をみつけて観察をはじめたら・・・。見たことだけではなく、観察した特徴を手掛かりに、図書館や博物館へ行って調べたり、比較したり、原因を予想することが日記に書かれていて、研究の手順について理解を深めることができる。

 

5 『ぼくのおおきさ』

 

 「大きくなったねえ」といわれるたびに、「ぼくは、僕の大きさだよ」と思う主人公。大きいとか小さいとか、何だろう?

親戚には必ず言われる「大きくなったねえ」。いわれる方にはたしかに不思議に感じる。

 

 

 

『ジェーンとキツネと私』いじめの中で素晴らしい本と出合った女の子の話

『ジェーンとキツネとわたし』
ファニー・ブリット文 イザベル・アルスノー絵 河野万里子訳 西村書店

 

 

もとはカナダで出版されたフランス語の本です。

実際手に取ってみると、中がコマわりになっていて、マンガのようです。

袖の部分にある紹介コメントには

 

「カナダ総督文学賞受賞/気鋭のイラストレーターが描く/繊細なグラフィックノベル」と書かれています。

 

ウィキペディアによると


グラフィックノベル (Graphic novel) は、通常は長く複雑なストーリーを備えた、しばしば大人の読者が対象とされる、厚い形式のアメリカン・コミックを指す用語である。グラフィックノベルは、オリジナル長編の場合や、オリジナル短編集の場合、過去に発行されたアメリカン・コミックの一連の物語を再収録した一冊の本の場合がある。フランスでは、版型がやや小さくてページ数が多く、シリーズものでない単独作品で、文学的であることを目指すようなものを指す[1]。
コミックナタリーでは、「アメリカでマンガ単行本を指す用語」と説明されている[2]。

 

 他のウェブサイトではエルジェのタンタンシリーズが挙げられていたり、日本のコミックスも入るのでは?との意見もあったりで、厳密に決まっているジャンルではなさそうです。

 

 絵本というより、むしろティーンズ向けの小説のようです。100ページほどありますが、絵が多いおかげで疲れません( *´艸`)

 

 冒頭は主人公の少女の通う学校。町を俯瞰したシーンから始まります。

 

 

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きょうはどこにも居場所がない 


学校の廊下もだめ、校庭もだめ、美術室に続く一番奥の、すこしだけチーズみたいなにおいのする階段もだめ。

 

“あの子”たちがそこらじゅうにいるから。わたしの悪口をらくがきするあの子たちが・・・

(本文より)

 

主人公の少女は"わたし"。

 

タイトル『ジェーンとキツネとわたし』の"わたし"、エレーヌ。

 


エレーヌは学校でひとりぼっちです。トイレに「エレーヌは体重100キロ」「臭い」なんて悪口を書かれたりしています。以前仲が良かった友達と、何かがあって孤立しているようです。どうにもならない時は本の世界ににげこみます。

 

ちなみに、エレーヌが読んでいるのは『ジェーン・エア』。現実にある小説です。

 

『ジェーンとキツネとわたし』の、「ジェーン」は、1847年に発表されたイギリスの小説『ジェーン・エア』の主人公のことです。『ジェーン・エア』は作者シャーロット・ブロンテが30歳のころに執筆した名作です。どんなお話かというと・・・

 

 孤児になった主人公ジェーン。ジェーンは預けられた親戚の家で酷い扱いをうけ、厳しい子供時代を過ごします。ひどい境遇にめげることなく聡明な女性へと成長し、最終的にすばらしい愛を見つける。

 

この本をエレーヌはお守りのようにカバンに忍ばせています。

 

 学校にいても、家に帰ってでさえも、エレーヌの世界は冒頭の風景のシーンと同じくモノトーン一色。『ジェーン・エア』の世界だけが鮮やかな色であふれています。

 

 そんなエレーヌの学校生活にある試練(?)が訪れます。

 

 キャンプです。

 

 クラスに友達がひとりもいない現状で、これはつらい(/ω\)。

 

本を読むことでバス中の「ぼっち」をやりすごしたエレーヌが、自分以外の子がグループを作っている時にとった戦術

 

何かを探しているふりをしてかばんをごそごそする。

 

つらい。


 悪意を持ったからかいを臆面もなく口に出す人と、関わりたくないから見て見ぬふりをする人。自分をとりまいている息苦しさ。まわりの目が気になります。


  そして最後に出てくるのが、『ジェーンとキツネとわたし』の"キツネ"。


 キツネはキャンプ最終日の夜、テントの外で『ジェーン・エア』を読んでいたエレーヌにあらわれます。嫌なことがあったキャンプの夜、グレーと黒の世界に、赤茶色の小さなキツネがあらわれます。色ってこんなにパワーがあるのですね・・

 


 キツネの登場と同時に、ある女の子がエレーヌの前に現れます。女の子との交流で色のある世界へとエレーヌは帰ってゆきます。

さらに、彼女をいじめていた女の子とも関係の修復の兆しをみせながら。

 

いじめをのりこえることがメインではなくて、「素晴らしい本との出会い」を経験できた女の子のお話のようにも読めました。
 

 

 

ジェーンとキツネとわたし

ジェーンとキツネとわたし

 

 

 

 

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)

 

 

 

ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)

ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)