『さかさ町』 F.エマーソン・アンドリュース 作
リッキーとアンは、汽車でおじいちゃんの家へむかっている途中、事故のため、知らない町で一泊することになり・・・
あらすじ
リッキーとアンの兄妹は、汽車でおじいちゃんの家に行く途中。ところが、橋が壊れてしまったので、見知らぬ町で1日を過ごすことになりました。その町の名前は「さかさ町」。「さかさ町駅」は、かんばんの字が上下さかさまに書いてあります。家は、屋根が下になっています。なにもかもさかさまの町で、二人はホテルに連れて行ってもらいました。
ホテルのかんばんもやっぱりさかさまでした。なぜか受け付けは子どもで、おじいさんが赤ちゃんのようにベビーサークルに入って遊んでいます。なんとさかさ町では、子どもがはたらき、おとしよりはあそんでもいいことになっていたのでした。子供にとっては働くことが新鮮で、おとりよりは長年働いてすっかりくたびれてしまっているからです。
おなかがぺこぺこのリッキーとアンはホテルのレストランへ行きました。最初に二人の前に運ばれて来たのはなんとデザートでした。それから、地下5階の部屋へいきました。ふたりは、頭と足の位置が逆になったベッドでぐっすりねむりました。
翌日、二人はさかさ町へお出かけ。きのうホテルの入り口で遊んでいたおじいさんが案内役です。ところが、アンはおなかが痛いと言い出します。何時間も待たされるのではと心配そうなアンですが、予想とはさかさまに病院ではひまそうなお医者さんが。さかさ町の病院では医者が患者を待つのです。お金もいりません。だって、病気になったら働けないからです。アンはお医者さんにとってもおいしいキャンディーのお薬をもらって病院を後にしました。
3人は野球場へ向かいます。球場では「としよリーグ」が開催されていて、おじいさんたちが野球をしています。子どもたちは座ってじぶんのおじいさんを応援しています。としよリーグでは、点が少ないほうが勝ちで、ここでもさかさまなのでした。
次は買い物です。ショッピングセンターに行く途中には学校がありました。この町の子どもは、とてもいい子だけがやすみの日のみ学校に行きます。一人前の仕事をすることで、学校に行く必要がないからです。 歴史の授業では、現代から昔へさかのぼって勉強をしていきます。
また、「わすれよ科」では、失敗を忘れて前向きな気分になったり、いやな目に合ったことを忘れて悪口を言わないですんだりする、ということを学びました。
いよいよショッピングセンターに到着です。 リッキーはいいバットを発見しますが、お金がありません。ところが、バットはタダでもらえて、さらに値札についているお金をくれると店員さんが教えてくれます。ショッピングセンターではバット職人がバットをお店に置くときにお金を払います。バット職人はバットが売れると、また新しいバットを作ることができるのです。バット職人が、靴やパンを買うときには、逆にお金がもらえるのです。もし、ものをもらうだけのだらしない人がいたら・・・?おもいばつをうけます。
リッキーとアンはショッピングセンターで、おじいちゃんへのお土産をさがします。店員さんのおすすめは「懐中消灯」。「懐中消灯」は光(?)を当てるとまわりを暗くします。明るいポーチでもひるねができるのです。
そこへ車掌さんがやってきて、橋がなおって汽車が出発することを教えてくれました。汽車は出発し、「さかさ町」の看板はだんだん遠ざかっていきました。
感想
なんでもかんでもさかさまだと、むちゃくちゃになってしまうのでは?と思いきや、意外に合理的で考えさせられます。
病気になったら働けないからお金をもらえたらありがたいし、 人からされた嫌なことを忘れられたらけんかや争いがへるでしょう。
もし、自分がさかさ町に迷い込んだら・・・・?案外居心地が良くて、ずっとすんじゃうかも。