映画「あなたへ」は、劇場公開日2012年8月。
2014年11月10日83歳で亡くなった高倉健さんの遺作で、大滝秀治さんの遺作でもあります。
監督は、高倉とともに「鉄道員」などを生み出してきた降旗康男氏。
原作はなく、降旗監督と脚本家によるオリジナルストーリー。
映画のノベライズが文庫版で出版されています。
1: 『あなたへ』森沢 明夫/[著]
小説と映画の違うところ
a 妻洋子からの手紙の内容。主人公は洋子から2通手紙をもらいますが、2通目のお手紙の内容が違っています。
b ノベライズ版では山頭火の俳句が映画よりかなり多く紹介されます。山頭火に興味があるひと、映画を見て山頭火の句って面白いなと思ったら、ノベライズを一読してみるのが良いかも。
ほかにもいろいろ違いがありましたよ(^^♪
主演の高倉健さんの本
2 『幸せになるんだぞ 高倉健あの時、あの言葉』谷 充代/著
健さんが出演した映画と、さまざまなエピソードが紹介されています。
「あなたへ」関連では、佐藤浩市さんが健さんと飲みに行く(ただし健さんはお酒は飲まないので、佐藤浩市さんだけ飲む)話で、佐藤さんが緊張から早いペースでお酒を飲んでしまいぐでんぐでんになっちゃう (/ω\)話が紹介されていました。
『高倉健の背中』 大下 英治/著
降旗監督と高倉健さんは数々の作品でコンビを組みました。
ふたりの数々のエピソードが紹介されています。
「星めぐりの歌」
刑務所慰問のシーンと竹田城での天空のコンサートで田中裕子さんが歌っていた曲は、宮沢賢治の作詞・作曲の童謡「星めぐりの歌」です。田中さんの歌声、美しい(^^♪
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。
大ぐまのあしを きたに
五つのばした ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。
4:『草木塔』種田山頭火
この映画の中では種田山頭火の句がところどころに出てきます。
劇中で渡される本は、はっきりとセリフには出てきませんが、画面から判断しておそらく『草木塔』(潮文社)です。
『草木塔』は、山頭火句集七冊を収録した合本版の一代句集で七〇一句を収めています。仏教では「草木成仏(そうもくじょうぶつ)」、心を持たない草や木でも成仏するこれを信じて「草木塔」と刻んだ石碑を山野に建てる習俗がありました。それに習っての命名であったようです。
映画『あなたへ』に出ていた山頭火の俳句
行き暮れてなんとここらの水のうまさは
『草木塔』「柿の葉」
分け入つても分け入つても青い山
『草木塔』「鉢の子」
うしろすがたのしぐれてゆくか
『草木塔』「鉢の子」
朝凪の島を二つおく
『草木塔』「鉢の子」
ひとり山越えてまた山
このみちやいくたりゆきしわれはけふゆく