読書の友は珈琲とチョコレート

本屋さんか図書館まわりで生きています。文学館にいることもあります。

2017年4月に読んだ本

1  『がん消滅の罠』

【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)

 

日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。


   夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金3千万円を受け取った後も生存しており、 それどころか、その後に病巣が綺麗に消え去っているというのだ。同様の保険支払いが4例立て続けに起きている。


がんが完全に消失完治するのか? いったい、がん治療の世界で何が起こっているのだろうか―。                

 

 【感想】

 リビングニーズ特約、新薬の投与など、生命保険の仕組みと現在のがん治療の状況をばんばん入れつつ複雑な犯罪をにおわせつつ話が進む。トリックがわかると「えっそんなこと!?」と意表を突かれた。未読の方、余計な情報なしで読んで驚いてもらいたい。

 


 

2 『うつヌケ』

 

 

   著者自身のうつ病脱出体験をベースに、うつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられるドキュメンタリーコミック。               

 


 

 うつが寛解へ向かうきっかけや方法などを、その人ごとに紹介。内田樹氏、宮内悠介氏、熊谷達也氏など、ばりばり執筆活動をなさっている方も名を連ねていて驚く。作家活動という華やかな世界でキラキラしている面しか見えていなかったけれど、病気と闘って苦しんだり悩んだりなさっていたのだ。

 

また良い方向に向かっていても、不意にやって来る「突然リターン」は寛解に近づいている、よくなっている、という理屈に合わなくて、納得できないうえに大変であろうことが想像できた。気温差など、その人なりのルールをみつけるのが大事。とはいえ、それをみつけるためのルールやバイブルがないから皆さん苦しいのだろう。