読書の友は珈琲とチョコレート

本屋さんか図書館まわりで生きています。文学館にいることもあります。

Le jeune homme et la mort (若者と死) 愛と死のせめぎあい。


「ホワイトナイツ」予告編 - YouTube


若者と死(ジャン・コクトー)~熊川哲也(Tetsuya Kumakawa) - YouTube

Le jeune homme et la mort (若者と死)

戸口の扉が開き、若い娘が入ってくる。ダークな髪、優雅でスポーティな様子、帽子はかぶらず、非常に短い淡黄色の簡単なドレスに黒い手袋。ドアを閉めるやいなや彼女はつま先で地団駄を踏んで機嫌の悪さを表す。若者は彼女のほうへ駆け寄るが、彼女は押しのけ、大またに部屋を歩き回る。彼は後を追う。彼女は椅子をいくつもひっくり返す。第二の局面は画家と娘との踊りで、娘は彼を侮辱し、辛く当たり、肩をすくめ。足蹴にする。このいさかいが舞踊にまで高揚する。つまり二つの肉体のくんずほぐれつする展開、吐き捨てられ踏みにじられるシガレット、ひざまづいている哀れな男を踵で三度も蹴る娘、くるくると旋回して倒れ、からだをひきつらせ、それから重い煙のようにごく緩慢に立ち上がる男、要するに怒りの分解された雷鳴の展開である。

ジャン・コクトー

ジャン・コクトーが台本を書き、ローラン・プティが振付けたバレエ作品。
若い画家の孤独と絶望を描いた、今一番好きなバレエ作品です。
なんでこんなに惹かれるのかよくわからないくらいですヽ(´▽`)/
愛、死、エロス、若さ、怒り、悲しみ、いろんな要素や感情がダンサーの身体とそこからうまれる舞踊で表現され、わたしを弾きつけてやみません。

台本 ジャン・コクトー
音楽 J・S・バッハ パッカサリアとフーガ ハ短調
振付 ローラン・プティ

 

 

映画『ホワイトナイツ』より ミハイル・バリシニコフ

 

 

 

あらすじ

芸術の自由を求めて祖国を捨てたソ連の青年と、自国の政策に抵抗してソ連に亡命したアメリカの青年の友情を描く。製作はテイラー・ハックフォードとウィリアム・S・ギルモア、監督は「カリブの熱い夜」のテイラー・ハックフォード、脚本はジェームズ・ゴールドマンとエリック・ヒューズ。撮影はデイヴィッド・ワトキン、音楽はミシェル・コロンビエ、美術はフィリップ・ハリソンが担当。なお、ライオネル・リッチーが歌った主題歌「セイ・ユー・セイ・ミー」がアカデミー賞主題歌賞を受賞した。出演はミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズイザベラ・ロッセリーニなど。(goo映画より)

 

 

 

ニコラ・ル・リッシュ/マリ=アニエス・ジロ

 死と向き合った若者の苦悩、一方であまやかな死に魅入られた若者の陶酔感の表現がそれぞれダンサーによって違って見えます。
 私は熊川哲也さんがとっても好きなのですが(=´Д`=)ゞ、この『若者と死』に関してはニコラ・ル・リッシュ演じる若者に一番共感と感動を覚えました。

 時計を耳に当てるしぐさはとってもナイーブ(゚ー゚)そして、黄色いワンピースの乙女と一瞬愛が通じ合うかのようなシーンでは彼女だけを見つめていて、いかに”若者”が”乙女”に心惹かれているかっていうのが伝わってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

熊川哲也/ダーシー・バッセル

 

 

 

Photo

 

 

 

DVDの解説によると、 熊川さんが初めてこの「若者と死」を踊ったのは2002年。DVDは2006年(当時34歳)に撮影されています。

 

  「若者」は等身大の自分でもあるとインタビューで自身が言われているように、作品内での熊川さんはナチュラルな感じがしました。

ニコラ・ル・リッシュ演じる若者はナイーブや愛情全面に出ていたように思いましたが、熊川さんが演じている若者からは、芸術と死にとりこまれた人間の狂気が強く感じられます。

 

 

 

 

 

 

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